内視鏡外科手術を行うにあたってのガイドライン
日本内視鏡外科学会
1992年8月29日制定
1995年11月29日改定
近年、腹腔鏡下胆嚢摘出術をはじめとする内視鏡下外科手術は、患者にとって利点の多い手術法として注目され、広く普及しつつある。本法の基本的な手技は、一般的な外科手術と同様であるが、ビデオモニターに映し出された手術野の画面を見ながら行う特殊な技術をも要する手術である。
日本内視鏡外科学会は、内視鏡下外科手術についての経験豊かな指導者の下で下記事項についての適切なトレーニングを完了したあと、本法を施行することを勧告する。また指導者は、修練医の習練意欲の高揚とその維持に努めると同時に、内視鏡下外科手術の正しい在り方についても指導する義務がある。
- 外科医としての一般的な開胸・開腹手術手技と周術期管理、合併症の治療法の習得
- 内視鏡下に見る各臓器の解剖学的構造や相対的位置関係の理解
- 胸腔鏡あるいは胸腔鏡検査法に関する手技の修得とその意義についての理解
- 2次元のビデオモニター像下での深度感覚の習得
- 遠隔操作による臓器触知感覚の習得
- 拡大映像化での視覚-手指運動協調(hand-eye coordination)の習得
- 特殊機器使用法の習熟
- 内視鏡下外科手術を行うに必要な結紮法などの特殊技術の習得
以上のような条件の下に内視鏡外科手術を開始した後、独立した術者として内視鏡下外科手術を施行するために必要な条件は、つぎのごとくである。
- 日本外科学会、日本産科婦人科学会、日本泌尿器科学会の認定医の資格のいずれかを取得している。
- 助手として10例以上の経験をつんでいること
- 術者として、指導者の下で10例以上の経験をつんでいること
- 従来の外科手術で、同様の手術ができること
- 学会認定の研究会・講習会を受講していること