理事長挨拶
2022年11月より日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会理事長を拝命し、2024年11月より二期目を務めさせていただくことになりました。大変光栄に存じますとともに身の引き締まる思いでございます。
本学会は、1990年に「日本Endourology・ESWL学会」として設立され、2011年に「日本泌尿器内視鏡学会」、2021年に「日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会」と名称を変更しながら、柔軟に形態を変えながら持続的発展を遂げてまいりました。学会員数は年々増加傾向にあり、5000名に届く勢いであります。
本学会の最大のミッションは、泌尿器科低侵襲手術の開発と安全な普及と教育であります。直近の大きなイノベーションは、ロボット支援手術でありました。近年では、複数の手術支援ロボットにより様々な術式が行われています。本学会では、会員が安全かつ適正にロボット支援手術が行えるよう、タイムリーな規則改正やプロクター制度の充実を図ってまいりました。しかし、2012年にロボット支援前立腺全摘除術が保険適用となり12年が経ち、ロボット支援手術は既に標準的治療となっています。その取り扱いについても改めて検討すべき時期に来ているかもしれません。具体的には、2024年度から腹腔鏡技術認定医制度の申請術式にロボット支援手術が加わりました。本技術認定制度は2005年に開始され、既に2000名余りの会員が認定医を取得しています。ロボット支援手術についても教育活動を推進し、より標準化を図っていきたいと思います。
泌尿器科低侵襲手術の推進において、医療安全の重要性は言うまでもありません。2021年、本学会は日本泌尿器科学会と共同で、「腹腔鏡手術およびロボット支援手術に関する術中・術後早期重大事例報告書」の運用を開始しました。リアルタイムに情報を把握することにより、必要に応じ会員に迅速なメッセージを出してまいりました。今後も泌尿器科低侵襲手術の安全監視を継続して参りたいと思います。
手術における次のブレークスルーを生み出すために、イノベーション教育は極めて重要であります。医工連携・新技術検討委員会では、毎年総会において、医工連携展示、知財教育、優れた医療機器を開発した会員の表彰などを行っております。また、近年では手術に関するデジタルデータを集積、解析することにより、効果的な手術教育ツールや次世代手術用ロボットを開発する動きがあります。本学会でも、手術データサイエンス委員会を新設し、デジタルサージェリーの開発に取り組んで参りたいと思います。
最後に、本学会においてもダイバーシティ推進活動を強化したいと思います。本年、ダイバーシティ推進委員会が設置され、女性参画の実態調査が行われました。その結果、女性会員、代議員、委員会委員、理事、学会座長・シンポジスト、技術認定医等、いまだ十分な参画が得られてないことが明らかになりました。しかし、20-30歳代の女性会員比率は30%に近く、本学会の将来において、女性会員の活躍は必要不可欠であります。継続して、あらゆる会員が安全に泌尿器科低侵襲手術に取り組むことができるよう、学会運営や教育活動に取り組みたいと思います。
以上、本邦の泌尿器内視鏡手術・腹腔鏡手術・ロボット支援手術などの低侵襲手術を安全に普及、発展させ、全ての患者様に安全・安心な治療を提供できるよう、引き続き努力してまいりたいと思います。何卒、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
2024年11月
一般社団法人日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
理事長 武中 篤
(鳥取大学医学部器官制御外科学講座 腎泌尿器学分野 教授)